お知らせ 詳細

自宅での緩和ケア 2


私たちは、開院した16年前からがん患者様のご自宅での訪問診療を始めました。1400人近くのがん患者様のお世話をしましたが、同じ病気でも、訪問の中身が全く違っていました。

病院では、決められた治療をし、決められた生活スタイルの中で大人しく生活し、ご家族も本人も先生の前では緊張してあまり何も言えなくなります。しかし、自宅では、まったく逆です。自宅での治療方法もその人の希望に沿って、またご家族の希望に沿って内容が決まります。生活スタイルはそれこそ千差万別で、医療や看護は、そのスタイルに合わせて行われます。要は主役が患者様なのです。

患者様とご家族のいる土俵に、我々医療スタッフがお邪魔しますと言って上がっていくわけですね。しかし、病院では、その反対。主役は主治医です。そして看護師さん。そちらの土俵にお世話になりますと患者様が上がっていくわけです。 

自宅では愉快です。病気の人をつかまえて愉快とは怒られてしまいますが、病気の中でも、その人なり、その家庭なりのルールがあり、その人間関係に振り回されながら、いつも笑いが絶えませんでした。悲しいこともありましたが、ご家族と一緒に乗り超えていきました。最期の時を迎えても、いつも「ありがとう」の言葉がありました。

患者様の病気が何だったか、思い出せないことが多々ありますが、不思議と、家の間取りとかベッドの向きとか介護していた奥さんの言葉などがいつまでも心に残っています。自宅では、トータルで人をみるんですね。だから奥が深いのです。ご家族とは、それこそ家族のような付き合いになり、なんでも相談してもらっています。

自宅での療養はすばらしいです。病院に長居しないで、早く家に帰ってきてください。そして、私たちに訪問を依頼してください。
いつも皆さんに寄り添っていきたいです。

松永 美佳子

IMG_8559